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zoom RSS Release Me 【サッカー書評とか】

<<   作成日時 : 2015/06/17 22:50   >>

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 買いましたよ〜今回は〜。
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 何だかイライラする事が多過ぎて、カッとなって買いまくってしまった。当然、小出しにするなどというセコい事は考えておらず。これを一回の記事で全部消費してしまうつもりだった。

 元はといえば、全て連載を再開しない某漫画家が悪い!!
 今月第一週発売のグラジャン、作品が一つ終わるということは当然ながらチェック済みであり(もうこれを書くのが記事の枕言葉みたいになってきたな…)、連載再開に向けての一つのターニングポイントだと思っていたのだが…今回も当たり前のように休載継続。数少ないキャプ翼ファンを嘲笑うかのように、世界的サッカー漫画家は謎の(連載以外の)活動を継続しているのであった…。

 この調子なら、今月中の再開は間違いなく考えられない。一時の感情に流されて、貴重な更新ネタを無駄にする事はあまりにも愚かだと冷静に考え直す事にした。基本的に後先考えずに生きてきたこのカスみたいな人生だが、とりあえず来月の更新くらいは考慮しておきたいと思う。ちょっとだけ成長した自分。遅すぎるが。
(追記:来月あたまに連載再開するらしい。発表が遅いよ!)


                                                                 


【My Best 11】Unicorn楽曲ベスト11 Vol.1

1987〜1993

 そもそも、更新ネタに困った時のために思い付いたのがこの“俺ベス11”なのだから、このタイミングで書く事に何の躊躇いもない。むしろ当然の事だ。
 今回はユニコーンの楽曲を取り上げる。5人5様の強烈な個性がぶつかり合うわけでもなく、かといって交じり合うわけでもない。混然一体、ゆるく楽しく一枚のディスクの中で自己主張する、あまりにも特異な音楽性。日本音楽史上でも類を見ないロックバンド、それがユニコーンである。
 肩肘張らず、悪ふざけしながらも、ただただ音楽を楽しむオッサン5人。そんな彼らを私は愛する。その裏に潜んだ技巧、圧倒的な回数に渡るであろう先人達の遺産の聴き込み・リスペクト、本人達にしか知りえないであろう毒も含め。
 今回は活動休止前までの作品を11曲ピックアップ。今回はランキング順ではなく、リリース順。
 ちなみに私が最初に聞いた曲は「I'm a Loser」(否リアルタイム)、買ったシングルは「大迷惑」(否リアルタイム)、買ったアルバムは『ザ・ベリー・ベスト・オブ・ユニコーン』(リアルタイム)である。


画像ペケペケ
from the Album 『PANIC ATTACK』 (1988.7.21.)
 作詞:川西/作曲:奥田/歌:EBI,奥田。
 1stアルバム『Boom』はモロに当時の“ビートロック”で、その文脈を超えないものであり、私は未だに馴染めない。良い曲もあるが、「あくまで当時の水準としては」と但し書きを付けなければならない程度。そんな時代の流れに抗えなかった若き日のユニコーンが、徐々に変化を見せ始めたのが2nd『Panic Attack』だ。この曲はその象徴と言えよう。
 精一杯背伸びして格好付けている男の心情をクールに歌うEBI(これが初ヴォーカル)、男に頼らず我が道を往く肝っ玉女子パートを民生がパワフルに歌い上げる。この対比が最高。作詞は女心を描かせたら天下一品のリーダー川西。ギター2本とベースが絡むリフにも工夫の後が見られる。ビートルズ直系の「ウーララ」コーラスも効果的で、間違いなくユニコーンの代表曲のひとつ。風呂場で演奏するPVも強烈な印象を残す。


画像ペーター
from the Album 『服部』 (1989.6.1.)
 作詞・作曲・歌:EBI.
 3rd『服部』でユニコーンは完全に現在のスタイルを確立する。キーマンは新加入メンバー、阿部義晴。「ユニコーンは民生のワンマンバンドだった」という悲しすぎる認識が今でも蔓延っているようだが、私は音楽的にもパフォーマンス的にも阿部がバンドにもたらした影響は計り知れないと思う。
 などと言いつつ選んだのはEBIの曲。ある程度ロック/ポップス的な文脈に則って作られている他の4人の曲に比べ、明らかな異分子であるのがEBIの作る曲だ。3拍子や5拍子を多用し、メロディの印象も多国籍かつ無国籍(欧州の匂いが強い)。浮遊感のあるハイトーンのヴォーカルも相俟って、アルバムの中でも独自の空間を構成している。
 この曲はそういったEBIらしさが全開。ヨーロッパのトラッドを思わせる主旋律。一見童話風ではあるが、底知れぬ狂気を感じさせる歌詞。この世界観を音として具現化したメンバーも立派。民生的なポップ曲を求めているファンには評判が良くないかもしれないが、初めて『服部』を聴いた時から心に引っ掛かって離れない曲。


画像君達は天使
from the Album 『服部』 (1989.6.1.)
 作詞・作曲:EBI/歌:EBI,奥田。
 出来れば前曲「パパは金持ち」とメドレーで選びたい。「ペーター」とは違い、こちらはアイドルなEBIが全開で女子ファンはきっと目がハートになっていた事だろう。「君達はそう天使 まとめてめんどう見るよ 清らかな男女交際」ですよ。そりゃ狂信的なEBIファンも生まれようというもの。
 サンバな前半、テッシーのギターで加速する後半。EBIと民生の歌い分け。ノリ一発のAメロ・Bメロとサビの甘い歌詞・メロディ。全てにくっきりとしたコントラストが付いており、そんな所がこの曲の最大の魅力。


画像デーゲーム
from the Album 『服部』 (1989.6.1.) / Single (1989.9.1.)
 作詞・作曲:手島/歌:奥田。
 ライトハンドを多用した速弾き、アイバニーズのギター、皮のブーツ、ソバージュの長髪…どこからどう見てもヘビメタ兄さんにしか見えない手島いさむ。だが、そのイメージに反して作る曲は叙情的で切ないものが多く、アルバムの核になっているものばかり。
 シンプルなコード進行とメロディ、このまま素直にアレンジしたら“普通の良い曲”になってしまうところだが、冒頭から鳴り響くインド風のリフのお陰でサイケに彩られた。万年補欠の野球部員が、猛暑の中ベンチで出場出来る見込みのない試合を無気力に見つめている感。多分にビジュアライズされた曲。
 なお、シングルカットされたバージョンではあの坂上二郎が歌を担当。二郎さんの朗々とした歌唱も一聴の価値あり。


画像ロック幸せ
from the Album 『ケダモノの嵐』 (1990.10.1.)
 作詞・作曲:川西/歌:川西、手島。
 リーダー川西(とテッシー)が初ヴォーカルを披露した、脱力ロックンロール。過酷な現代サラリーマンのよくある日常を描きつつ、小さな幸せでも探して生きましょうというワークソングでもある。ある意味で第1期ユニコーンの最高傑作かもしれない。あくまで個人的に。
 このとぼけた味が病み付きになり、高校時代に友人と毎日のように歌っていたものだ(リアルタイムじゃないよ、念のため)。歌詞の仮名遣いもその可笑しさに拍車をかけているので、機会があれば是非見てほしい。再始動直後のライブでは(同じく川西曲の)「キミトデカケタ」とメドレーで演奏されていた。


画像自転車泥棒
from the Album 『ケダモノの嵐』 (1990.10.1.)
 作詞・作曲:手島/歌:奥田。
 センチメンタリスト・テッシーの真骨頂。ほのぼのメロディと切ない記憶を想起させる歌詞、説明不要の大名曲。ギタリストの曲なのに、派手なギターソロや歪んだギターのバッキングはなし。あくまで楽曲の良さを引き立てる事に専念している。テッシーはギタリストとしてのエゴより楽曲そのものを優先するのだ。
 下降し上昇する音のリフの絡み合いが、陽炎や白昼夢を誘発し、リスナーを「遠い昔 ふた月前の夏の日に」タイムスリップさせる。ちょっとダルな民生の歌い方が必要以上の感傷を拒否するようで、逆にそこが聴いている者の様々な感情を呼び起こす効果が。
 夏を境に変わった彼女、子供のままの「僕」。終始音を使わないアウトロが二度と戻らない夏を暗示している。何度聴いても素晴らしい曲。色々カバーも聞いたけど、どれも原曲を上回ったと感じた事は未だにないなぁ。


画像雪が降る町
from the Single (1992.12.2.)
 作詞・作曲・歌:奥田。
 少しずつ崩壊へ向かっていた時代のユニコーン。そんな時期に出したヒット曲。後に民生ソロでお馴染みになる「日常風景そのものを切り取った、やる気のないシンプルな歌詞」が既に前面に出ているが、サビのメロディのドラマティックさがユニコーンの楽曲である事をギリギリで留めている。
 クリスマス・ソングではなく年末ソング。そんなところがファン以外の琴線にも触れたのだろうか、この曲はリアルタイムでもよく耳にした。今でも年末の慌しさをイメージしようとすると、この曲以外に最適なBGMが見つからない。ブラスやベルが分厚く鳴り響くアレンジも、一年の締めくくりにふさわしい壮大さがある。
 当時聴いている頃はそこまで思い入れがなかったのだが、やはりこの曲は日本人のDNAに訴える何かがあるらしい。タイトルが「街」ではなく「町」なのが重要なポイント。この曲を聴いていると、まだ商店街に活気があり、田舎ながらも賑わっていたかつての我が故郷の年末を思い出す。もうそんな日々は帰ってこないけれど、この「雪が降る町」を聴いていると当時の華やいだ記憶を思い出せる気がするのだ。思い入れ勝ちって事でランクイン。


画像金銀パールベイビー
from the Album 『SPRINGMAN』 (1993.5.21.)
 作詞・作曲・歌:阿部。
 ここから怒涛の『Springman』ラッシュ。リーダー川西が脱退という危機の中で制作されたこのアルバムだが、結局ムードメーカーの穴はあまりにも大きく、このリリース年の1993年にユニコーンは解散。一旦5人は散り散りになるのであった。そんな不穏なムード漂う作品だけに、どうしても“曲の作者+バックバンド3人”みたいな楽曲が多い。更に今までのおちゃらけムードはどこへやら、歌詞にもシリアスなメッセージばかり。そんな中でバンドとして実験している曲もあり、そういったギリギリのバランスがこの作品の完成度を高めている。
 この曲はエンターテイナー・阿部の真骨頂。50年代を思わせるロカビリーに乗せて歌われるのは、当時社会現象となっていたジュリアナ東京へ通うイケイケ姉ちゃんの心情。このアンバランスさこそユニコーン。エルヴィス・プレスリーばりに歌い上げる阿部のヴォーカルも堂に入っており、ウッドベース(EBIは弾いてないらしいが)にクリーントーンのギター、間奏での口ベースなどそれらしい仕掛けも満載。楽しい曲。


画像オールウェイズ
from the Album 『SPRINGMAN』 (1993.5.21.)
 作詞・作曲・歌:手島。
 ミュージシャン稼業とは旅の連続。ツアーを楽しみつつも、疲弊したバンドマンの眼差しが浮かぶような曲。当然、多忙を極めたユニコーン時代のテッシーの心情をそのまま反映した歌詞である。シンプルで飾らないメロディと歌が光る。疲れた時に思わず「たーいーくーつさ」と歌い出したくなる曲。
 ちなみに、タイトルは仮題「いつもの」(いつもテッシーが書くような方向性の曲、という意味)をそのまま英語にしただけらしい。しかしテッシーの声が若いな。最新作『イーガジャケジョロ』収録の「それだけのこと」とは別人のようだ。


画像あやかりたい'65
from the Album 『SPRINGMAN』 (1993.5.21.)
 作詞・作曲・歌:奥田。
 ロッキンな曲ばかりこのアルバムに提供している民生(勿論、大人気曲「すばらしい日々」を含む)。後のソロの路線を暗示させるが、この曲はバンドならではの意匠を感じる。軽快なロックンロールだが、不協和音的なリフに導かれ、サビで異様な盛り上がりを見せる。
 欧米文化と切り離す事の出来ない現代日本の様々なカルチャー。勿論、洋楽をこよなく愛してきたユニコーンにとっても彼我の音楽の差は常に意識し続けなくてはならない、ある意味で命題のようなものである。欧米かぶれの日本人を皮肉りつつ、歌っている民生本人もその“日本人“なので、ある意味では自虐でもある。と同時に、自国文化と欧米文化を何の隔たりもなく楽しめる日本人ってなかなか面白いじゃん?という自国礼賛の歌でもあるのだ。背反するメッセージが同居しており、なかなかに示唆的。
 ちなみに、「'65」は民生(とEBI)が生まれた1965年を指す。今年も半世紀少年が二人増えるのですね。


画像薔薇と憂鬱
from the Album 『SPRINGMAN』 (1993.5.21.)
 作詞・作曲・歌:EBI。
 一見王子様、だが根底にあるのは病的なメッセージ…というひねくれた曲を作ってきたEBIが、今までのイメージをかなぐり捨ててシャウト出来る曲を作った。民生・テッシーのギターが左右で嘶き、阿部のシンセが唸りを上げる激しいナンバー。別れを告げた「君」への「俺」の尋常ではない怒りが終始歌われる。歌詞もサウンド通りのハードさ。
 タイトルはただ漢字が難しい単語を並べただけらしい。復活後はこの路線を封印しているEBIだが、またこのような曲を聴いてみたいものだ。


                                                                 


【Football Culture】フットボール書評 Books are Burning 第10回

 毎回書いてるあらすじ説明が長くて、ほぼネタバレになってる気がする。よって、今回からは簡単にしていこうと思う。手抜きではありません。



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シャンペン・シャワー(花とゆめCOMICS)
かわみなみ


[あらすじ]


〔1巻〕

 南米の小国、エスペランサ。首都・ヴィトーリオの人気クラブは、開幕から続く連敗を止めるため密林の奥地からスカウトしてきた新戦力を、同都市のライバルであるサルバドールとの一戦にいきなり後半から起用した。その名はアドリアン“アドル”アレクシス。
 謎の新人アドルは、投入されるなり大活躍。野生的な動きですぐさまゴールを奪う。だが、相手エースのマルロのファウルに激昂、グーパンチを見舞って退場になってしまうのだった。しかし、ファンに強烈なインパクトを残したアドル。若きエースに率いられ、ここからFCヴィトーリオの快進撃がスタートする。
 華麗なゲームメーカー・ディッコ、職人SB・リョウ安藤、寮のルームメイトである変態ジョゼ…才能溢れる仲間と共に、アドルは優勝を目指す。憧れのシャンペンシャワーを味わうために。


〔2巻〕

 リーグ戦最終節。ヴィトーリオは2位のアイアス相手にドローでも悲願の優勝。一方、ライバルであるサルバドールは最下位。3位のジェロムに10点差以上で勝利しなければ二部落ちが決まる絶望的な状況だった。
 しかし慢心があったヴィトーリオは開始早々に失点。アドルもディッコもジョゼも完封され、まさかの敗戦。目前で優勝を逃してしまう。しかしサルバドールは、マルロ(と彼の忠実な信奉者アンドレ)の捨て身の活躍で10点差勝利。“奇跡的な残留”を成し遂げた。

 失意のアドル。だが、彼には次の仕事が待っていた。エスペランサ代表として、厳しい南米予選を勝ち抜くのだ。ヴィトーリオからはアドルやジョゼ、ディッコと多くのメンバーが選出されている。ヴィトーリオからは当然マルロとアンドレが選ばれたが、なかなか彼らとウマが合わないアドルであった。


〔3巻〕

 ドタバタの合宿を終え、いよいよ南米予選がスタート。初戦の相手はシエラサルド。中東系移民の莫大なオイルマネーをバックに、近年急激に力を付けてきた新興国だ。
 食事、長距離移動、主力選手の宿舎の隔離、ハニートラップ…あの手この手でアウェーの罠を仕掛けてくるシエラサルド関係者。その実態を探ろうと、マルロが調査を開始する。無理やりそれに付き合わされるアンドレ、後を追いかけてきたアドルとジョゼ。4人は、まんまと相手の策略にはまってしまい、姿を消してしまった。
 規律に厳しいエスペランサ代表監督、ジョー・ハンク・ライフ(見た目からしてモロに現役時代のクライフ)は4人を待つ事にするのだが…キックオフの時間は迫る。


〔4巻〕

 苦戦しながらも数々の秘技を駆使し、グリセーダ、サンペドロを相手に連勝を続けるエスペランサ代表。次の相手は古代文明で有名な国、ベラリオ共和国。ここには専属の呪術師がいて、対戦相手は必ずその餌食になるという。またしても大掛かりな陰謀の犠牲になりかけるアドル・ジョゼ・マルロ・アンドレの4人。今回のキーマンは怪我で試合欠場が決まったマルロだ。

 更に待ち受ける強豪、ポルトフィーネ。イングランドリーグからエースのゴードン・スティングレイを呼び戻し、全く隙が見当たらない。エスペランサは未だにこの国に勝利した事がなく、厳しい戦いになるのは明白。
 しかし、代表チームは連勝で浮かれ、マルロに至っては妻の出産の影響で何故か想像妊娠までしている体たらく。危機感を抱いた代表チームの大スポンサー、ライヒマンは選手達に対ポルトフィーネ用の特訓場を用意するのであった。そのあまりに奇抜な内容に、唖然とする代表選手達…。


〔5巻〕

 “卓球特訓”“習字特訓”“サーカス特訓”“障害物サッカー”とアホらしくも過酷な特訓を乗り越えたエスペランサ代表選手達。いよいよ予選最大の山場、ポルトフィーネ戦へと臨む。
 ホームでの試合。ゴードンにはマルロがマンマーク。アドルとジョゼが数々の秘技を繰り出すものの、GKコッペルの鉄壁のセービングの前にゴールを割れず、スコアレス・ドロー。

 必勝を期したアウェー戦だが、ゴードンとFWサムソンが繰り出す秘技に手も足も出ず、あっという間に2点を先行されるエスペランサ。これで逆に吹っ切れたのか、アドルとマルロのコンビプレーからマルロがゴールネットを揺らし、更にアドルのCKからジョゼがヘッドで決めて同点。アウェーゴールで優位に立った。
 だが、あの男は一瞬の隙も見逃さない。ディッコが相手選手と交錯、そしてマルロが古傷の肩を痛めて動揺するエスペランサ。その機に乗じゴードンはアドルのパスをカットして独走すると、ロングシュートを決めてリードを奪う。
 残り3分。ワールドカップへの夢は幻と消えてしまうのか…。


〔6巻〕

 肩の脱臼をテープで固定し、強行出場したマルロ(70年W杯のベッケンバウアー!)、ゴードンの決定的シュートを捨て身で防いだアドルの決死のプレーもあり、3-3で試合終了。アウェーゴールでワールドカップを決めたエスペランサ。ロッカールームで、アドルは遂に“シャンペンシャワー”を堪能する事が出来た。

 大活躍し、クラブに戻る代表選手達。しかし、マルロだけは蚊帳の外だった。若手選手にポジションを奪われ、ベンチを暖める日々。世代交代を推し進め、クラブに従順な人材を求める首脳陣にとって、彼は真っ先に整理すべき存在だったのだ。
 そしてマルロはフロントに危険な賭けを提案した。クラブに優勝をもたらさなければ、愛するサルバドールを自ら去る…彼にとって、激動のシーズンが始まる。


[感想]

 1983年、日本代表にとってワールドカップとは、見上げる事すら出来ない遥か高い頂だった。「ワールドカップ出場」を口にする事すら憚られ、アジアのセカンドクラスに止まるのがやっとという時代。『キャプテン翼』の大ヒットで少しずつ若年層への定着が始まっていたものの、フットボールという競技の裾野の広大さに気付いていた日本人はほとんど存在しなかった。
 そんな状況の中、架空の国を舞台にスタートしたサッカー漫画がこの『シャンペン・シャワー』だ。しかも掲載誌は少女マンガの“花とゆめ”。時代背景から考えても異例中の異例だろう。今のものさしで考えても異色作品という感覚だから、当時の読者の驚きはちょっと想像もつかない。
 ただし、サッカー漫画といっても中学高校を舞台にしたスポ魂ものではない。海外のプロリーグを題材にした大人の話で、少年側からすると「冒険したなぁ」と思ってしまうが、当事者である読者の少女達からすると逆にかけ離れた世界の出来事の方が「きゃー、マルロ素敵ー!アドルかわいー!」と熱狂出来たのかもしれない。こればっかりは私にはわからない。そもそも、少女マンガで主人公が男性って事自体が相当異端なような気がする。しかも20代後半のオッサン(少女基準)もバンバン出てくるし(つーか、2大人気キャラが28歳)。

 今考えると時代が早すぎるとしか思えない、本格的な舞台設定。だが、忘れてはいけない。この作品が掲載されているのは少女漫画誌。あくまで少女がターゲットなのである。よって、サッカー漫画といってもプレー表現や戦術描写をひたすら追究出来るわけではないのだ。メインの読者層のニーズに応えなくてはならない、これは漫画としては当然の事。作者のかわみ先生は試合のページを減らし、キャラクターの描写やギャグ表現に力を入れた。少女達が飽きてしまいそうな試合シーンは、曲芸じみた“秘技”で面白おかしい演出をし、非常にポップに描いている。
 現実離れしているのは当たり前。それを批判ポイントにするのはこの漫画の趣旨から大いにズレている。そんな評論をするのは中学二年生までに卒業しておきたいものだ。そういう漫画じゃないんだから。しかし、キャプ翼みたいに必殺技じゃなくギャグ仕立ての“秘技”にしちゃうのが視点の違いだな、という感じがする。これは男女の差なんでしょうか?
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(秘技の一例)

 その分、ドキっとするようなリアルな描写が多数入っており、ギャグに支配されたストーリーをぴりりと締めている。アウェーでの国絡みの妨害、フロントと対立するベテラン選手、ホーム&アウェー戦でのアウェーゴール、リーグ戦での残留争い、プロならではの結果至上主義、etc...当時の日本のスポーツ文化ではなかなか理解し辛かったであろう事項が自然に物語に盛り込まれている。勿論、サッカーのルールがわからない少女達にもわかりやすいよう、作中でさりげなくフォローも。
 とにかく変態ジョゼと、男前なのに泥臭く不器用なマルロの生き様が面白過ぎる。この2人が作中人気のツートップらしいが、それもわかるな。女の子達が恋愛対象にしてたというのは男性視点だとすごく意外だったりするが…あと、当然ロッカールームでは男の裸まみれだが、あんまり“やおい”的な描写はない。上記2人にも嫁がいるし、主人公のアドルと有名俳優の娘・サフランの恋愛模様はこの漫画でも貴重なラブストーリーとなっている。本来、少女マンガならこれがメインだものね。
 また、ヴィトーリオは当時のブラジル、サルバドールはイタリア、ジェロムは西ドイツ、アイアスはオランダの代表チームがモチーフとなっており、登場人物にも殆どモデルが存在する。元ネタ探しもお楽しみのひとつだ。

 もともと、ずっとこの漫画は読みたいと思っており、数ヶ月前から本格的な捜索に入っていた。前回の記事で探していた漫画というのもこの『シャンペン・シャワー』の事である。かなり昔(90年代後半)から「ジーコは『シャンペン・シャワー』という漫画のディッコというキャラのモデルになっている」という情報だけは知っており、タイトルだけは常に脳内に保存されている状況だった。昨今のブログ更新の困難さがきっかけとなり、今年に入ってようやく本格的に探す事となったわけだ。
 ネット上のレビューを見ていると「男性読者には絵柄が…」みたいな事を気にされているリアルタイム読者の方々が多かったが、私としては何の違和感もなかった。そもそも少女マンガも結構好きで持っているし(ただし、何故か“花とゆめコミックス”しか持ってない)、こういうキラキラしたキャラも嫌いではない。アドルきゅん超かわいい。ぺろぺろしたい。飼いたい。

 この作品を呼んでいて感じるのは、作者の深いサッカー愛だ。連載当時、恐らく同行の徒はごく僅かだったと思われるが、そんな状況下でサッカー漫画を実際に描き、更に少女漫画誌に載せてしまった。その点だけでも偉大。文庫版で収録されているかどうかはわからないのだが、単行本ではかわみ先生がおまけ的にサッカーのルール説明やワールドカップのレポートを描いている。サッカーがマニアの密かな楽しみだった時代に、こういった事を書いているという事実に頭が上がらない。
 キャプ翼ブームでサッカーボールを蹴る少年達が急増し、近所でもその姿を見かける事が多くなった事について、先生は「実は私はこういう世の中を待っていたのよネ〜〜長いこと!夢見た世界だわー」と書かれている。思わず目頭が熱くなる。当時はまだまだ日本サッカーが冬の時代だったはず。しかしこれは、後にワールドカップ初出場、そして初勝利を成し遂げる世代を幼少時から目の当たりにし、日本にサッカーが根付いていく様子を萌芽の段階から見守ってきたという事なのだ。日本代表の試合が当たり前のように高視聴率を獲るようになった現在の状況を、かわみ先生はどのように感じておられるのだろうか?
 そんな事を考えていたら、妙に胸がいっぱいになってしまった。ま、かわみ先生はツイッターアカウントをお持ちのようなので、リアルタイムで呟きを見る事が出来るのだが…。

 最後に余談。登場人物は主に当時の実在のサッカー選手をモデルとしているのは前述の通りだが、明らかにミュージシャンをモデルにしたキャラも多い。主人公アドルの父親はデヴィッド・ボウイがモデルだし(その名もダヴィッド・アレクシス)、ポルトフィーネの中心選手であるMFゴードン・スティングレイ、GKコッペル、FWサムソンは明らかにザ・ポリスの3人がベースになっている。
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 他にも当時女性にも人気のあった(ルックスが良い)洋楽ミュージシャンの小ネタが沢山。当時の少女漫画って、意外とこの手のネタが多いようなイメージがあるのだが、これはかわみ先生の個人的な好みだったのか、それともあの時代の少女漫画家の基礎知識みたいなものだったのか。もしご存知の方がいらっしゃればご教示願います。



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夕空のクライフイズム(ビッグコミックス)
手原和憲

 今までのストーリーに関してはこちら。
スペイン旅行を終えて家路へ向かう世界的漫画家。  【サッカー書評とか】(1巻)
Primitive Notion 【キャプ翼古文書とかサッカー書評とか】(2巻・3巻)


[あらすじ]

 なんと、サッカー王国静岡の選手権代表校・富士鷹高校との練習試合が決まった木登学園サッカー部。強豪との対戦決定に慌てるイレブンだが、コーチの雨は中等部3年から選手補強を考えていた。木登四天王の一人、その名も加賀美。紙のようなフィジカルだが、得点力があり周りも活かせるFWだ。
 滝が“異次元の男”と称する加賀美は、長髪をなびかせ女子生徒にもモテモテながらフリーの身。彼が恋するのは二次元美少女のみであり、サッカーよりもコミケの漫画原稿を優先するという変人であった。

 加賀美を加えるという事は、前監督時代から不動のスタメンである阿部と森田のラインを崩壊させる事になる。果たしてスタメンには誰が選ばれるのか。
 そして雨と共に静岡に偵察旅行に臨んだ今中。二人の仲に進展はあるのか。何故か今中に対抗意識を燃やす加賀美の真意とは。


[感想]

 ジョージ・ベストみたいな風貌の新人、加賀美が華麗に登場。“イケメンだけど重度の二次元信者であるオタクFW”という設定は、実は10年前の年末に買ったウイイレにて作ったオリジナルキャラで既に私が使っている。勝った!(何も勝ってない)
 サッカー小ネタは相変わらずだが、雨ちゃんと今中の微妙な恋心、そしてそこに対抗意識を燃やす加賀美が話の核になっている。加賀美、結局三次元もいけるんじゃねぇか!とりあえず、パーカのフードを被って匍匐前進する雨ちゃんが破壊的にかわいかった。

 プレー面では森田と加賀美の共存が中心で、どっちかといえば置き去り気味だった今中だが、あくまでウイング(ドリブラー)として雨ちゃんの構想内に入っている事が最後に告げられる。次巻は頑張れ、主人公。
 巻の終わりに、昨年のワールドカップで無残に散ったスペインと日本の事について雨宮監督が語り始める。パスサッカーを標榜した両チームが、何故成す術なく敗れ去ったのか。どのようなメッセージを雨宮監督が(というより手原先生が)発するのか楽しみである。

 ちなみに我が国の代表は、あれから(アジアカップを含めて)何の進歩もしていないという事がシンガポール相手に証明されちまったけどな。あえてここまで何も触れてなかったけどよ。本当にしっかりしてくれよ…。

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内 容 ニックネーム/日時
ネイツがユーロ予選でゴールを決め、勇人が戻って久々に勝ち点3取れましたね!
福岡戦の森本と水野のゴールで、どっちが「俺たちジェフ!やんのかなー」と
期待した私が馬鹿だった結果になりなしたが
水野がゴールを決めた後、胸のエンブレムを指さしていた姿に熱くなりました。

またまた年齢がバレそうになるんですが、「シャンペンシャワー」読んだことありますよ。
私の場合はキャプテン翼つながりで、サッカーの漫画を・・・という訳ではなく
アンチキャプテン翼で洋楽と少女漫画好きな友人が全巻貸してくれました。
貸してくれた経緯は今となっては思い出せないけれど
少女漫画をほとんど読まない私に何とかして教えたかったのかもしれないですね。
で、感想は普通に面白かったです。
そりゃー秘技もキャプテン翼とは別の意味でメチャクチャだし
猿を小さいマルロに改造とかヒデェーwと思いましたけど
作品の評価を下げるものではないですよね。
表紙見て読まないのは損だよなって事です。
良い意味で裏切られますんでw

当時の少女漫画事情は分かりませんが、ジャンプも「北斗の拳」では
モデルのいるキャラクターが結構いましたよね。
洋楽好きな子がユダの姿を見て「ボーイ・ジョージじゃんw」って騒いでました。

後、陽一先生の最近のお仕事といえば、楽天イーグルスとのコラボの
「キャプテン嶋」とNumberの「スポーツ漫画最強論」号ですかねぇ・・・
うっちーと翼のツインシュートの表紙、何気に頭身があわせてあって匠ですw
すしを
2015/06/25 00:00
ついに、キャプテン翼までパチンコが出てしまったみたいです。

ドラゴンボールやワンピースのように、出さないて欲しかったです。(ワンピース出ていなかったですよね?!)

やっぱり・・・、パチンコに頼らなければ、厳しくなってしまったのでしょうか?!


パチンコをする気は全くないですが、翼君の声は小粥ようこさんなのでしょうか・・・?!

岬君は、山田栄子さん、若林君は、橋本晃一さんがいいですね。

日向さんは・・・、鈴置さんでない可能性が高そうなので残念です。
島村ジョー
2015/07/10 20:22

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