Come on United!

アクセスカウンタ

zoom RSS Human Touch 【Day 5】

<<   作成日時 : 2017/04/05 01:55   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

フットボール書評 Books are Burning 第33回

 サッカー書評・2017春の陣、これにて完結。最後を飾るのは、あの傑作サッカー小説のコミカライズ!



画像画像画像
龍時(ジャンプコミックスデラックス)
作:野沢尚/画:戸田邦和


[あらすじ]

 愛人を作り、自由気ままに暮らした末に蒸発した父。子供2人を抱え、必死に生計を立てる母…複雑な家庭環境でサッカーを続ける志野龍時。孤軍奮闘を続けていた高校時代、U-16代表に召集された事によって彼の運命は動き出す。

 いきなりスタメンに抜擢され、迎えた対U-17スペイン代表戦。本場で揉まれる同世代との圧倒的な差、相手のあからさまな見下しと挑発、監督の日和見な采配、噛み合わないチームメイトとの連携…全てに苛立ちを抱えながら、龍時は決意した。
 幼き日に父が残した言葉。頑固なまでに自分を貫く。そしてこの球(ほし)の支配者になる。個人で局面を打開し、同点ゴールを奪った龍時。だが、本気になったスペインの壁を打ち破る事は出来ず…。
画像
「ここにいたんじゃダメだ… こんな小さな世界にいたんじゃ…」

 焦燥感を募らせる龍時に、海外留学の話が舞い込む。リーガ・エスパニョーラ1部・アトランティコFCからのオファー。スペインとのテストマッチでのプレーが、関係者の目に留まったのだ。
 ここまで育ててくれた母の反対を押し切り、高校を中退し、妹・ライバル・彼女と別れ…完全に退路を断ち、妥協の許されない勝負に挑む。厳しい道だが、龍時に迷う必要などなかった。

 言葉もわからないまま踏んだマドリーの地で待ち受けるのは、貧弱な設備、ファウルを取ろうとしない審判、そしてお決まりの露骨な東洋人差別…。
画像
 それでも、自分はここで結果を出さなくてはならない。
「敗残兵のごとく日本に帰ったところで 自分は死んだに等しい」
 リーガ・エスパニョーラ1部のピッチを目指し、龍時の戦いは続く。


[感想]

 かつて私が、この作品にいかに心打たれたかは既にこのブログで書いている。作者である野沢尚氏が自らその命を絶った事により、永遠に未完となった日本文学界屈指の名作サッカー小説。
 当然、ストーリーが面白いのは改めてここで記すまでもない。文章表現だけでここまでプレーの臨場感やスピード感を再現出来るものか、と自分にはかなりの衝撃であったが、そこまでの作品を漫画としてビジュアル化するのはかなり困難な作業であるはずだ。

 3巻までの感想ではあるが、過不足なく再現出来ていると感じた。実は連載していたワールドサッカーキング誌上で数回読んではいるのだが(WCCFに熱を上げていた親しい友人が、付録の特別カード目当てに何度か同誌を買っていたため)、まとめて読むとその事がよくわかる。
 小説特有の心理表現などは無理に台詞にせず、ナレーションのようなモノローグで表現している。ここは作品の魅力を損なわないようにどうしても削れない点だろうから、このやり方は間違っていないと思う。

 問題は、この先バンバン実名選手・クラブが出てくる中でどのように大人の事情に折り合いを付けていくのか。そして思春期の少年の物語らしく、現地で出来た彼女のとのラブシーンをどこまで描くのかという事。
 最も気になっているのは、物語のクライマックス(結果としてそうなってしまっただけで、話はまだまだ続く予定だったのだろうが…)である五輪代表での戦いをどう翻案したのかという事。ちょうど時期としてアテネ五輪の時期だっただけに、龍時と当時のU-23代表の面々(大久保嘉人、松井大輔、阿部なんとかという人等)の競演が実現していた。
 連載時期から考えると、漫画版では北京五輪のメンバーだろうか?本田、内田、長友、吉田など後のA代表との競演が見たいところだが…何となく、架空キャラもしくはもどきキャラになっているのではないかと予想している。


画像
 今回調べていて初めて知った事だが、漫画を描いた戸田邦和氏はなんと高橋陽一門下生。『CHIBI』から『WY編』までレギュラーアシスタントとして陽一先生のサポートを務め、その後も不定期に手伝っていたらしい。
「高橋陽一先生のアシスタント時代は好き勝手やっていた」 戸田邦和(漫画家)インタビュー前編(サッカーキング)
「小学校のときにはもう漫画家になりたいと思っていた」 戸田邦和(漫画家)インタビュー中編(サッカーキング)
「マンガは描き方を学べばクオリティーが高くなる」 戸田邦和(漫画家)インタビュー後編(サッカーキング)
 戸田先生曰く、「高橋陽一がなんぼのもんじゃいぐらいの感覚」の「すごく生意気」な「失礼なヤツ」だったとの事だが、やはり世界的知名度を誇るサッカー漫画家の下で学ぶ事は多かったらしい。この『龍時』漫画版も、陽一先生の一言から連載が決まったとか。また人の人生変えちゃったか、陽一先生…。

 上記インタビューで大いに興味深いのは、陽一先生がワールドサッカーキング創刊当時から編集長の岩本義弘氏と昵懇であった事、何より原作の『龍時』を知っていた事である。
 やはり、どこかで前評判を聞いた上でしっかりチェックしていたのだろうか?『誇り』の時も顕著だった昨今のサッカー漫画からの影響といい、オリジネイターに近い存在でありながらサッカー関連の創作に関するアンテナは張り巡らせているのだろう。やっぱり現役バリバリの作家なんだなぁ、と思う。その結果が今の連載か、というのはとりあえず置いておくとして。

 閑話休題。戸田先生は、現在では陽一先生が主宰するマンガアカデミー翼塾の講師も務めている。そんな作家の作品をここで取り上げるのは、決して偶然ではないのだろう。今回の5作品の最後に持ってきたのも、全く意図した形ではなかった。恐らく、何かに導かれたのだと思う。
 こういった出逢いがあるのも、提供してくれる友人のお陰だ。最大限の感謝を。本当にいつもありがとうございます。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
連続更新スゴいですね〰✨ランジェロさん。お疲れ様ですm(__)m
ご紹介して頂いた漫画「龍時」読んでみたくなりました。サッカーの試合オンリーではなく、なんだか人間ドラマも繰り広げられてそうな。キャプテン翼とはまた違った魅力がありそうです。
話は変わりますが…グラジャン最新号読みました🎶
シュナイダーが✴ネタバレになるのでここではまだいいませんが。
ミューラーに子猿のように抱きついていて←ファンに怒られるかもこんな表現(笑)
かわいかったです←そこかい!
メイン?の日本勢もコマ別で感心してましたよね彼の活躍に。
でも…私の本音は、早くこの試合を決着つけて、日本勢の試合がみたいです。
ヨッシー
2017/04/05 22:19
ヨッシーさん:

ツッコミありがとうございます!実は6年前にも一週間連続で更新した事があったのですが、誰も指摘してくれなくて寂しかったですw
もうちょっと続くので、よろしければお付き合い下さい。

『龍時』、漫画の方は3冊しか読んでいませんが、小説の方もお勧めですよ。何だか自分がピッチに立って試合をしているようなリアルさがあります。勿論、主人公を取り巻く人間ドラマも魅力の一つですね。

小猿シュナイダー…目から鱗の表現ですねw
ミューラーがあんなに爽やかになっていて、どういう心境の変化があったのか凄く気になってます。
松山、一応は翼や岬より大きなコマで描かれていましたが、表情が日向と同じなのが…そろそろ日本選手の描き方を陽一先生が忘れかけているのかも。
ランジェロ(雨に困る人)
2017/04/06 01:44

コメントする help

ニックネーム
本 文
Human Touch 【Day 5】 Come on United!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる